- 悩みの昼
- 「今日は午後から、気の重い企画会議が開かれます。
- 午前中は、その会議の資料作りで忙殺されてしまいました。
お昼休もコンビニのおにぎり1個。
- とにかく口うるさい上司が出席する会議なので、資料の作成にも細心の注意を払わなければなりません。どの角度から質問が飛んでくるかわかりませんし、どんな突飛な
提案があるかも予想できません。
自分だけでなく、周りの同僚たちもピリピリしているのが伝わってきます。
- いよいよ会議のスタートです。
自分のパートの説明が終わり、ホッと一息ついたところで、案の定というか、なんで? というか、くだんの上司が口を開きました。
- 『で、きみはそれをちゃんと検証したの? 自分がそう思っているだけじゃ、
説得力がないでしょ。メインターゲットは、君とは年齢も、置かれている環境も
違うんだよ』
- 自分がつい思い付きで言ってしまったことを、見事に突かれてしまいました。
あれだけ準備してたのに、その部分には何も言わず、こんな思い付きの部分だけ
指摘してくるなんて!
- なんか納得できない気持ちでいっぱいです。
ある程度は覚悟していたけれど、
指摘されるとやはり、みぞおちのあたりに重いモヤモヤが居座ってしまいました。
しばらく悶々としそうです」
- さて、ではなぜ、この人は重い気持ちになってしまったのでしょうか?
- 発言に穴があったことで、自分への評価が下がったからでしょうか?
時間をかけた準備が報われなかったからでしょうか?
軽はずみな自分、ふがいない自分が嫌になったのでしょうか?
あまりにも当然のことを言われたからでしょうか?
- たぶん、その全部です。
でも、なぜそれで落ち込む必要があるのでしょう?
- 思い付きで言ったことが、上司に注意されたのは事実です。
しかしそれが、自分への評価を下げることになるかどうかはわかりません。
それ以外の部分は何も指摘されなかったわけですから、むしろ評価が上がっている可能性
もあります。
また、仮に下がったとしても、すぐに検証にとりかかれば、逆転のチャンスは十分にあります。
- 時間をかけた準備も、上司の質問を想像しながら、いろんな角度から検討することで、
この企画に対する理解がかなり深まったはずです。
また、準備に忙殺されている間は、余計なことを考えずにそのテーマに没頭できたわけ
ですから、幸福な時間を過ごせたのではないでしょうか?
- 軽はずみな自分も、ふがいない自分も、これからステップアップするためのバネにすれば
いいだけです。
- そしてそもそも、この上司は理不尽なことを言っているわけではありません。
個人の思い付きも大切ではありますが、それをデータで裏付ける作業も必要です。
- このように考えてくると、この人が悩む理由はどこにもないことがわかります。
準備も発言も上司の指摘も、この人の成長のためには必要なことです。
- もしかしたら、この人は成長したくないのでしょうか?
仕事人としても人間としても、
今のままがいいと思っているのでしょうか?
- いったいこの人は、どんな人になりたいのでしょう…。
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